食中毒その② 意外な落とし穴
前回は食中毒の基本的なお話をしましたが、今回は食中毒の意外な落とし穴についてです。
今回はいつもと違ってクイズ形式で説明します♪
問題1:手に塩をつけておにぎりをにぎれば食中毒を予防できる
答え:❌
黄色ブドウ球菌はヒトの皮膚、特に傷口に存在する常在菌で、少々の
塩分では死にません。そのため直接手でにぎったおにぎりやお弁当が感染源となることがあります。また、黄色ブドウ球菌の増殖速度はとても早く、食中毒を起こす数まで増えるのに平均3時間と言われていますので、菌がつかないように注意することが大事です。おにぎりは直接手でにぎらず、サランラップに包んでにぎる、お弁当を詰める時は箸等を使い直接手で触れないようにしましょう。
問題2:魚を洗う時は塩水より真水が良い
答え:⭕️
魚が感染源となる食中毒菌は腸炎ビブリオであり、この菌は塩分(1〜10%)がある環境を好みます。腸炎ビブリオは真水で死滅するため、魚を洗う時は塩水ではなく真水(水道水)で洗いましょう。
問題3:カレー等の煮込み料理が残った時は鍋のまま保存するのが良い。
答え:❌
カレーやシチュー等、深鍋で調理する煮込み料理はウェルシュ菌がいる可能性が。ウェルシュ菌は土の中にいる菌でジャガイモや人参等に付着していることがあります。ウェルシュ菌は熱に耐えられるよう芽胞という殻を作る特性があり、芽胞を作ると加熱しても死滅しません。また、ウェルシュ菌は酸素が少ない環境を好むため、酸素が少ない深鍋の底は菌にとって増殖しやすい場所となります。そのため、カレーが余った場合は鍋にそのまま放置せず、浅いタッパーなどの容器に小分けにして冷蔵庫で保存しましょう。
クイズの結果はいかがでしたか?
今回は特徴のある食中毒菌の話でしたが、食中毒予防の基本は食中毒菌を「つけない(手洗いの励行)、増やさない(早めに消費、適切に保存)、殺菌(十分な加熱)」が基本です。
これらを実践し、安心・安全な食事を楽しみましょう。
管理栄養士 大上